日本の社会保障制度は、国民の生活を支えるために設けられた制度で、「社会保険」「公的扶助」「社会福祉」「公衆衛生」の4つの柱から成り立っています。その中でも、会社員として働く人が最も関係するのは「社会保険」の部分です。ここでは、会社員に特に関係する健康保険や厚生年金、そして国民年金などの仕組みについて詳しく解説します。
目次
1. 健康保険(医療保険)
会社員は「健康保険」に加入し、病気やケガをした際の医療費の負担を軽減する仕組みを利用できます。
- 自己負担割合
一般的には、医療費の3割を自己負担し、残りの7割を健康保険がカバーします(小児や高齢者は負担割合が異なる場合あり)。 - 保険料の計算方法
保険料は、給与を基に計算され、会社と従業員が半分ずつ負担します。たとえば、給与が30万円の場合、保険料が約30,000円ならその半分の15,000円が給与から天引きされます。 - 給付内容
- 高額療養費制度:1か月の医療費が一定額を超えた場合、その超過分を健康保険が補填します。
- 傷病手当金:病気やケガで働けない場合、給与の約3分の2が最長1年6か月支給されます。
2. 厚生年金保険
会社員は「厚生年金保険」に加入し、老後の生活を支える年金を積み立てます。
- 保険料の計算方法
給与と賞与に応じて保険料が決まり、会社と従業員が半分ずつ負担します(健康保険と同じ仕組み)。 - 受給資格
- 受給資格は10年以上の保険料納付期間が必要です。
- 原則として65歳から受け取れますが、60歳以降の繰り上げ受給や70歳までの繰り下げ受給も可能です(受給額が変動)。
- 給付内容
- 老齢年金:老後の生活資金として受け取れる年金。
- 遺族年金:被保険者が死亡した場合、その遺族が受け取れる年金。
- 障害年金:病気やケガで障害が残った場合に支給されます。
3. 国民年金(基礎年金)
厚生年金に加入している会社員も、同時に「国民年金(基礎年金)」に加入しています。この制度は日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人に適用されます。
- 保険料
国民年金の保険料は定額で、2025年現在、月額約17,000円です。ただし、会社員の場合はこの保険料を厚生年金保険料の一部として支払うため、個別に負担を感じることはありません。 - 給付内容
基礎年金は、全員に共通して支給される部分で、満額で年間約80万円(2025年現在)です。
4. 労災保険と雇用保険
会社員が関係する社会保険には、以下のような制度も含まれます。
- 労災保険
業務中や通勤中に起きた事故や病気について、医療費や休業補償、障害年金などを給付します。この保険料は全額会社が負担します。 - 雇用保険
失業した際に給付金を受け取れる制度です。保険料は会社と従業員が負担し、失業期間中の生活費や再就職支援金が支給されます。
まとめ
日本の社会保障制度は、会社員の健康や生活を手厚く支える仕組みが整っています。特に会社員として働いていると、健康保険や厚生年金保険などの負担は会社が半分を担うため、個人にとって非常に有利な制度です。また、老後や万が一の際にも公的な支援を受けられるため、将来の安心感にもつながります。
しっかりと制度を理解し、適切に活用することで、安心して働くことができるでしょう。